【エッセイ】創作もまた特定の機能を持った商品としてみなされる

特定の機能を持ったただの商品としてみなされるのは、

ものの売り買いをするビジネスにおいてだけではない。

 

ほんらい精神を表す創作においても、同様である。

 

たとえば、村上春樹村上春樹的な機能を持った商品としてみなされている。

 

表現すること自体は精神的な活動だが、

受容のされ方は物質的な扱いになる。

 

職業作家は、強制によってではなく

自らの意志で

自分の存在や表現を

広く受け入れられる機能を持った

物質として制作するようになる。

 

大衆という概念が一般化する時代の流れの中で

創作は大衆が広く受け入れる機能を持ったもの

を制作することを無言で強制されている。

 

そうしなければ、創作が流通されることはない。

現代社会においては、効率的に金にならない創作は、

一切表に出てくるチャンスを与えられない。

 

金を投資して流通させることで、

たしかに投資した資本以上の利益を

発生させる創作だけが

価値のあるものとしてみなされる。

 

金にならない創作は

価値のないものとしてみなされている。

 

ビジネスにおいて、

生活において

棄損された精神を創作で表現しても、

それが世に知られるために資本的に流通

するかぎりにおいては

結局、精神はそこにおいても棄損されることになる。

 

売れる漫画になるために出版社のビジネスマンから創作の内容を指導される漫画家。