【短編小説】『転職』

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  一

 新卒から三年働いた仕事を辞め、家に引きこもってから半年が過ぎた。
 転職サイトに登録して20社ほど面接や試験を受けてはみたものの、どこにも受からなかった。
 途中から自分が何のために転職活動をしているのかわからなくなり、それから何のために生きているのかさえわからなくなった。
 そして家から一歩も外に出られなくなった。

 

  二

 家から徒歩5分のコンビニへ食べ物を買いに行くことだけが外の世界との接点だった。
 コンビニへ向かう道でいつもすれ違う1匹の猫だけが、自分の気持ちを理解してくれる存在のような気がしていた。
 テレビを見て過ごすことにも飽きたし、本を読んでも文章は何も頭に入ってこなかった。
 ほとんど一日中、ぼんやりとゲームをして過ごしていた。

 

  三

 その日もいつものように昼の1時頃に起きて、すぐにゲームのスイッチを入れた。
 アメリカ兵になってベトコンを殺戮していくゲームだ。
 その日の目的は次の敵拠点の制圧と、新しい武器の獲得だった。
 セーブデータをロードして、前回の続きの画面が開いたと思った瞬間、ベトナムの戦地に立っているのは、画面内のキャラクターではなく、自分自身だった。

 

  四

 それから何ヶ月が過ぎただろうか、今では私も普通に働いている。
 毎朝5時に基地で目覚めては、軍服に着替え、ベトコンを殺し続けるのだ。
 幾度も仲間の窮地を救った功績が認められ、少佐にまで昇進した。
 ここでは、自分が何のために生きているのかなどと迷っている暇はない。
 生きるために、ただ殺し続けるだけだ。
 こうして私は、転職に成功した。