悟り

いまの仕事をはじめる前、半年くらい無職だった。本を読んだり、一日中何もせずにただ座っていたりしていた。社会に参加していないと、ひとは孤独な観察者になる。金が無限にあれば、孤独な観察者をマスターして、悟りを開くこともできるだろう。悟りを開くのは、基本的に働かなくても食っていけるほど金がある人間だ。ブッダなどがいい例だ。もし彼が毎日目の前の労働に集中しなければならないカーストだったら、生老病死について思い悩むヒマもなかっただろう。いろいろと細かい教えを考える余裕もなかっただろう。そういうことを考えながら何もせずにただ座っていた時、悟りは安易だと思った。悟りは安易だ。悟りは現実逃避であり、空想に遊ぶことだ。なにも偉くないし、とりわけすごくもない。