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Fleur Aux Questions

よくあるご質問

花村太郎『知的トレーニングの技術』

 

知的活動には方法がある。世界にたいして何の方法ももたずに対峙することは、何をどうしていいかわからない目眩を起こさせる。

 

アントワーヌ・ロカンタンが吐き気をもよおしたように、世界とは何か不気味なもの、恐ろしいほどの混沌として私たちの目の前に広がっている。

 

世界の混沌を前にして、吐き気をもよおすことなくなんとかやっていくためには、世界を理解できるもの=分かるものにしなければならない。

 

分かるとは「分ける」こと、つまり世界の全体という混沌を、自分の立ち位置からある視点として見た対象としてとらえることだ。

 

こまかいことはどうでもいい。さまざまな方法や取り組み方の羅列を見ることは、暇つぶしにはいいが、本当に重要なのは、自分が何を見るのか、何を対象として世界から切り出すのか、ということだと思う。

 

知的活動の、労力を節約するためにパターン化する科学的側面ももちろん有用だけど、その方法では世界という混沌を見なかったことにするだけで、実は何も解決されていない。

 

夏目漱石が留学中に膨大な本を読んでも全然落ち着かず神経衰弱に陥ったとき、自分で文学というものの概念を作り出さなければ救われないと思ったように、私たちもまた、自分で世界というものの概念を作り出さなければ救われないのだと思う。

 

スピノザが死ぬほどの悩みに陥って『エチカ』を書いたように、誰もが自分なりの「道具」を使って自分なりのエチカを書かなければ救われないのだと。

 

 

 

 

嘔吐 新訳

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文学論〈上〉 (岩波文庫)

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知性改善論 (岩波文庫)

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