Fleur Aux Questions

よくあるご質問

ロラン・バルト『テクストの楽しみ』

 

あなたが書くテクストは、それが私を欲望する証拠を私に与えてくれなくてはならない。p12

 

読むことの楽しみはあきらかに、ある種の決裂から生まれる(あるいは、ある種の衝突から)。p13

 

文化やその破壊がエロティックになるのではない。エロティックになるのは、その双方の裂け目なのだ。p13-14

 

楽しみが求めるのは、放心の場なのだ。歓びの核心において主体をとらえる裂け目であり、切断であり、デフレーションであり、フェイディングなのだ。p14-15

 

大いなる物語の楽しみを生むのは、読むことと読まないことのリズムそのものなのである。プルーストや、バルザックや、『戦争と平和』を、一語一語読むものがいるだろうか?p23

 

私が物語において味わうものは、それゆえ、直接にその内容でもなければ、その構造でさえもない。むしろ、美しい包装に私が押しつける擦り傷である。p23

 

この読書を魅するのは、(論理的な)発展や、真理の剥奪ではなく、生成する意味の薄層である。p24

 

テクストを楽しみに応じて判断するというのなら、こんなふうに言ってすますわけにはいかない、ーーこれは良い、これは悪い、と。受賞作は決められないし、批評することもできない。なぜなら批評というものはつねに、技術的な狙いや、社会的な礼儀、多くの場合、想像上の口実を含むものだから。このテクストは完全なものになる余地があり、これはあまりにもこれであり過ぎるとか、これは充分にあれではない、といったふうに、規範的な述語の戯れで片づけて、配分したり、想像したりすることのできるものではない。テクストは(歌う声についても同様なのだが)、まったく形容を含まない判断しか、私から抽き出すことはできない、ーー「これ、これですよ!」、さらにまた、ーー「私にとって、これですよ!」。p26

 

テクストの活気(実際、これがなければ、テクストは存在しない)。それはテクストの歓びへの意志である。そこにおいてはじめて、テクストは要求を超え、おしゃべりを超越する。p27

 

楽しみのテクストーー満足させ、満たし、幸福感を与えるもの。文明からやって来て、文明と決裂することなく、読書の心地よい実践とむすばれるもの。歓びのテクストーー放心の状態におくもの、意気阻喪させるもの(おそらくある種の倦怠にいたるまで)。読者の、歴史的、文明的、心理的な基底だとか、その趣味、その価値観、その記憶の一貫性を揺り動かすもの、読者と言語の関係を危機に落とし入れるもの。p28

 

敵対者とは、テクストとその楽しみの排除を宣言する、あらゆる種類のうるさ型である、ーー文化的な順応主義による者にせよ、一徹な合理主義(文学の〈神秘主義〉を疑う)による者にせよ、政治的なモラリズムによる者にせよ、記号表現の批評による者にせよ、愚かしい実用主義による者にせよ、道化た愚行による者にせよ、言葉の欲望の喪失にひとしい、言説の破壊をこととする者にせよ。p29-30

 

テクストの楽しみ、それは私の身体がそれ自身の思念にしたがおうとする、この瞬間のことなのだーーなぜなら、私の身体は私とおなじ思念を持たないから。p34

 

いかにして批評を読むか?唯一の手段がある。(…)ーー私は楽しみの覗き屋になればよい。私はひそかに他人の楽しみを観察する。私は倒錯行為に耽る。注釈はそういう場合、私にとってテクストになり、フィクションになり、裂けた皮膜になる。p35

 

楽しみをあつかうテクストは短いものにならざるをえない(ちょうど人が「これだけ?ちょっと短いな」と言うように)。p36

 

楽しみは理解や感覚のロジックに依拠するものではない。それは漂流だ。(…)なにかしらニュートラルなもの?お分かりのように、テクストの楽しみはスキャンダラスなものだ、ーーそれが背徳的であるという理由によってではなく、一所不在であるという理由によって。p46

 

それは軽やかで複雑な、手入れされて、ほとんど軽率なおこないであればいい。頭の突然の動きとか、私たちが聴いているものをなにも聞いていない、私たちが聞いていないものを聴いている、一羽の小鳥の動きのような。p50

 

アンニュイは歓びから遠いものではない。それは楽しみの岸辺から眺められた歓びなのである。p52

 

言葉がエロティックでありうるのは、正反対の、どちらの場合でも度はずれな、ふたつの条件においてである、ーー過度にくり返されるか、あるいは逆に、その新しさによって思いがけない、味わい深いものになるか(…)。p85

 

古びないのは天気であって、アミエルの哲学ではないのである。p109

 

それはまさしくエポケーであり、中断であって、容認された(みずからによって容認された)あらゆる価値を、遠くからフリーズさせるものだ。(…)あるいはすくなくとも、楽しみが宙づりにするものは、意味内容の価値ーー(正義の)〈立場〉である。p132

 

 

テクストの楽しみ

テクストの楽しみ