Frequently Asked Questions

よくあるご質問

『死に至る病』ゼーレン・キルケゴール

死に至る病とは絶望のことである

死に至る病とは絶望のことである。絶望している人は瞬間ごとに絶望を自分に引き寄せている。絶望は関係にたいする関係の病だから、その責任はつねにそのひと自身の関係づけにある。絶望は死にたいけど死ねないのくり返しである。絶望はその無力さによってひとを蝕む。

最も恐るべきものーー絶望

どうして絶望のことなんか考えるのかといえば、絶望はもっとも怖るべきものだからである。もっとも怖るべきものを知ることでその他のあらゆる怖れはとるに足りないものにできる。

絶望は罪である

絶望は罪である。躓きである。躓くことなく信仰すること。自らを信仰に関係づけることで絶望を避けることができる。信仰によってつねに絶望を否定し続けなければならない。理解するには信仰が必要だという。信仰するには理解が必要だという。信仰と理解は一体となって同時に実現される。この場合は絶望の理解と信仰が一体となる。キルケゴール自身もそういうふうに書いたと言う。教化を志向しないものはすべて欺瞞であり虚偽であると断言する。

絶望は実存の問題である

これは臨床の知である。抽象的な概念を駆使するのはかまわない、しかし診療台に横たわる患者がいる隣でそうするのを忘れてはならない。絶望者は机上の空論ではなく、あなたのすぐそばにいる。あなたの中にさえ絶望者はひそんでいるかもしれない。

絶望という罪からの救い

キルケゴールのいうキリスト教を必ずしもキリスト教そのものとして捉える必要はない。それは絶望からの救いの比喩と捉えればいい。絶望者は他人がわかったような口で助言しても救われない。絶望者にはそれぞれ救われたい仕方が異なっているのだから。つまりそれが実存だ。そのために生きることのできるイデーということだ。絶望は罪である。罪とは診療台に横たわる患者を忘れたふりをして(または実際に忘れ去って)、あれこれともっともらしい説明付けをして説得したり主張したりすることだ。罪とは無知ではなく誤った知である。間違った方にどんどん進んで行って永遠がやがてその悲惨さを暴く時まで気づくこともできないという、無知の知ならぬ知の無知である。

 

info

■『死に至る病

著者:キルケゴール

訳者:斎藤信

発行者:山口昭夫

発行所:岩波書店

印刷:法令印刷

カバー:精興社

製本:桂川製本

1939年11月29日 第1刷発行

 

■目次

緒論

第一編  死に至る病とは絶望のことである。

  一  絶望が死に至る病であるということ。

    A、絶望は精神におけるすなわち自己における病であり。そこでそこに三様の場合が考えられうるーー絶望して、自己をもっていることを意識していない場合(非本来的な絶望)。絶望して、自己自身であろうと欲しない場合。絶望して、自己自身であろうと欲する場合。

    B、絶望の可能性と現実性。

    C、絶望は「死に至る病」である。

  二  この病(絶望)の普遍性。

  三  この病(絶望)の諸形態。

    A、絶望が意識されているかいないかという点を問題とせずに考察せられた場合の絶望。したがってここでは綜合の諸契機のみが問題となる。

      a、有限性と無限性との規定のもとに見られたる絶望。

      α、無限性の絶望は有限性の欠乏に存する。

      β、有限性の絶望は無限性の欠乏に存する。

      b、可能性と必然性の規定のもとに見られたる絶望。

        α、可能性の絶望は必然性の欠乏に存する。

        β、必然性の絶望は可能性の欠乏に存する。

    B、意識という規定のもとに見られたる絶望。

      a、自分が絶望の状態にあることを知らないでいる絶望。換言すれば自分が自己というものをらしかも永遠的な自己というものを、らもっているということに関する絶望的な無知。

      b、自分が絶望の状態にあることを知っている絶望。それでここではひとは自分が自己(したがってまた或る永遠的なるもの)をもっていることを意識している、そして絶望して自己自身であろうと欲しないか絶望して自己自身であろうと欲するかのいずれかである。 

        α、絶望して自己自身であろうと欲しない場合ーー弱さの絶望。

          1、地上的なるものないし地上的なる或る物に関する絶望。

          2、永遠的なるものについての絶望ないしは自己自身に関する絶望。

        β、絶望して自己自身であろうと欲する絶望。ーー強情。

第二編  絶望は罪である。

  A、絶望は罪である。

    第一章  自己意識の諸段階(「神の前に」という規定のもとにおける)。

    附論  罪の定義が躓きの可能性を含んでいるということ。躓きに関する一般的考察。

    第二章  罪のソクラテス的定義。

    第三章  罪は消極性ではなしに積極性であるということ。

    Aの附論  けれどもそれでは罪は或る意味では非常に稀なことにならないであろうか?(倫理)

  B、罪の継続。

    a、自己の罪に関して絶望する罪。

    b、罪の宥しについて絶望する罪(躓き)。

    c、キリスト教を積極的に廃棄し、それを虚偽なりと説く罪。

訳注

解説

 

 

死に至る病 (岩波文庫)

死に至る病 (岩波文庫)