『弱いつながり 検索ワードを探す旅』東浩紀

統計的な人生を乗り越えるために

環境から統計的に予測されるだけの人生を乗り越えるためには、環境を変え、思いつくこと、〈欲望することそのものが変わる可能性〉に賭けるしかない。

「強い絆」と「弱い絆

「強い絆」を築き環境の固定に向かっているネットを、環境を変える「弱い絆」に満ちたリアルによってより豊かにすることが必要であり、東浩紀は、観光客的なその試みを「検索ワードを探す旅」と呼ぶ。

外部から強制される出会い

ネットではみんな自分が見たいものしか見ようとせず、書きたいことしか書こうとしない。ネットにはひとに考えを強制する偶然の出会いがない。

たいして、リアルにおける偶然の出会いは、ひとを一定時間非日常の中に「拘束」することによって、日常の中では思いつくことのなかった新しい欲望を芽生えさせることができる。

憐れみが社会を作る

ルソーは、人間はそもそも孤独に生きるべきで、社会など作るべきではないと考えていました。

ではなぜ社会を作っているのかと言えば、憐れみを感じるから。

それは彼にとって、性欲があるということと同じだったのだと思います。

人間は、目の前でひとが血を流していたら思わず手を差し伸べてしまうし、目の前で異性(あるいは同性)に誘惑されれば思わず同衾してしまう、そういう弱い生き物であり、だからこそ自分の限界を超えることができる。

p106-107

偶然の可能性

「強い絆」(=ネット)は計画性の世界。そこではひとは環境の中で統計的なパフォーマンスの最適化をおこなうに過ぎない。

たいして「弱い絆」(=リアル)は偶然性の世界。そこでひとは予測できない偶然の出会いによって「この一回の人生」への愛を知る。

 

info

◼︎『弱いつながり  検索ワードを探す旅』

平成28年年8月5日発行

発行人:石原正康

編集人:神山満一子

発行所:幻冬舎

印刷・製本:中央精版印刷

装丁者:高橋雅之

 

◼︎目次

0  はじめに  強いネットと弱いリアル

1  旅に出る  台湾/インド

2  観光客になる  福島

3  モノに触れる  アウシュヴィッツ

4  欲望を作る  チェルノブイリ

5  憐れみを感じる  韓国

6  コピーを怖れない  バンコク

7  老いに抵抗する  東京

8  ボーナストラック  観光客の五つの心得

9  おわりに  旅とイメージ

哲学とは一種の観光である

文庫版あとがき

解説  杉田俊介