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Fleur Aux Questions

よくあるご質問

吉川浩満『理不尽な進化 遺伝子と運のあいだ』専門家の内輪揉めを非専門家が好奇心をもって眺めてみたら進化についてわかった二、三の事柄

 

 

ドーキンスもグールドも目指す方向は変わ

らない。進化論をより洗練されたものにす

る方向だ。ドーキンス自然淘汰とその必

然性が好きで、グールドは環境の制約とそ

の偶然性が好きというちがいがあるように

みえる。進化論の現況としては、自然淘汰

という必然性が環境の制約という偶然性を

受けながらも、それに適応するかたちで進

んでいくという見方なのだろうが、それで

自然淘汰のはじまりはどうなのだろうか

。そのあたりは不問なのだろうか。とにか

く進行している過程において生物が環境の

制約をうけながらも適者生存して行くとい

うのはわかる。どういうふうに説明しても

いいと思う。ただそれは結局、生物の生存

は能力と環境とのあいだでうまくいったり

うまくいかなかったりするというだけのこ

とではないか(面白いけど)。進化論は過

程の問いに見える。とりあえず実際こうな

っている生物の営みを、生き残るか絶滅す

るかのものさしではかる観察記録といった

ところだ。生存と絶滅をわける原因には、

遺伝子も関係あるし、環境の制約も関係あ

る。だけどそれがいったいどうしたという

のだろう? 一般人は日常会話のネタとして

進化論の適者生存を話題にする。専門家は

論争が紛糾するに見えてじつは同じ方向性

を目指して戯れている。

 

info

◼︎『理不尽な進化  遺伝子と運のあいだ』

著者:吉川浩満

ブックデザイン:鈴木成一デザイン堂

DTP:中村大吾

編集:赤井茂樹

発行者:原雅久

発行所:朝日出版社

印刷・製本:凸版印刷

2014年10月31日 発行

 

◼︎目次

⚪︎まえがき

  この本のテーマ

  誰のための本か

  この本の由来

⚪︎序章  進化論の時代

  進化論的世界像ーー進化論という万能酸

  みんな何処へ行った?ーー種は冷たい土の中に

  絶滅の相の下でーー敗者の生命史

  用語についてーー若干の注意点

⚪︎第1章  絶滅のシナリオ

  絶滅率99.9パーセント

  遺伝子か運か

  絶滅の類型学

  理不尽な絶滅の重要性

⚪︎第2章  適者生存とは何か

  誤解を理解する

  お守りとしての進化論

  ダーウィン革命とはなんだったか

⚪︎第3章  ダーウィニズムはなぜそう呼ばれるか

  素人の誤解から専門家の紛糾へ

  グールドの適応主義批判ーーなぜなぜ物語はいらない

  ドーキンスの反論ーーなぜなぜ物語こそ必要だ

  デネットの追い討ちーーむしろそれ以外に何が?

  論争の判定

⚪︎終章  理不尽にたいする態度

  グールドの地獄めぐり

  歴史の独立宣言

  説明と理解

  理不尽にたいする態度

  私たちの「人間」をどうするか

⚪︎あとがき

  参考文献

  人名索引

  事項策引

 

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ

理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ