『多読術』松岡正剛

本との関わり方

松岡正剛の千夜千冊が好きで、よく読んでいる。さまざまなジャンルの本を読みこなし、おもしろく紹介する博覧強記には、敬服の念をもつ。というわけで、『多読術』を再読してみました。べつに「多読」したいからというわけではなく、松岡正剛の本との関わり方の一端でもわかればいいなという気分で。

はじめに目次を読む

まず印象的だったのは、「目次」をはじめに読むことをおすすめしている点だ。とくに何も考えず読みはじめるのはたいてい、本の「冒頭」か「結末」、翻訳書だと「訳者あとがき」で、「目次」はほとんど読み飛ばすのが常だったので、これはあらためて参考になった。

目次にはその本の最もよくできたアウトラインが示してある。(中略)三分間程度の束の間をつかって目次を見ておくかどうかということが、そのあとの読書に決定的な差をもたらすんですね。(中略)これは買ってきた本を読み始める前にも、ほったらかしにしておいた本を読むばあいも、必ずやるとよい「前戯」です。ゼッタイおススメの「前戯」です。p70-71

雰囲気も何もなくいきなり本題の行為に入るのは盛り上がりに欠ける。読書という交感の質を深めるために「目次」を読むという「前戯」をするのがよい、と松岡正剛は言う。

本そのものがノートになる

あとは、本をノートとみなすこと。本も生き物なので、ただ眺めているだけではその見た目の形しかわからない。だけどペンやマーカーで書き込んでいくと、本の手触りがわかる。眺めてるだけでは交感はできない。触れてみてはじめてわかることがある。

本を読むという儀式

本を読むという行為は、テキストとの交感といういわば儀式のようなものであり、自分の身体がテキストの身体と交わり、そこから新しいものが生まれてくる。どんなものが生まれてきたとしても、それには自分の一部が反映しているわけだから、それをまた愛情をもって育てることもできるだろう。

 

info

◼︎『多読術』

著者:松岡正剛

発行者:熊沢敏之

発行所:筑摩書房

装丁:クラフト・エヴィング商会

印刷・製本:精興社

発行:2009年4月10日

 

◼︎目次

・第1章  多読・少読・広読・狭読

セイゴオの本棚/本は2度読む/たまには違ったものを食べてみる/生い立ちを振り返る

・第2章  多様性を育てていく

母からのプレゼント/親友に薦められた『カラマーゾフの兄弟』/文系も理系もこだわらない

・第3章  読書の方法をさぐる

雑誌が読めれば本は読める/三割五分の打率で上々/活字中毒になってみる/目次をしっかり読む/本と混ってみる/本にどんどん書き込む/著者のモデルを見極める

・第4章  読書することは編集すること

著者と読書の距離/編集工学をやさしく説明する/ワイワイ・ガヤガヤの情報編集/言葉と文字とカラダの連動/マッピングで本を整理する/本棚から見える本の連関

・第5章  自分に合った読書スタイル

お風呂で読む・寝転んで読む/自分の「好み」を大切にする

・第6章  キーブックを選ぶ

読書に危険はつきもの/人に本を薦めてもらう/本を買うこと/キーブックとは何か/読書しつづけるコツ/本に攫われたい

・第7章  読書の未来

鳥の目と足の目/情報検索の長所と短所/デジタルvs読書/読書を仲間と分ち合う/読書は傷つきやすいもの

・あとがき  「珈琲を手にとる前に」  

 

多読術 (ちくまプリマー新書)

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