『読んでいない本について堂々と語る方法』ピエール・バイヤール

単読より複読を

冊の本を読むということは、他の本を読まないということと表裏一体となっている。この世界の片隅に閉じこもってしまわないために、一冊の本に拘泥するより、むしろさまざまな本の位置関係をつかむようにしたほうがよい。

誰が考えるのか

を読むということには、その本の作者の考えにとりこまれて自分を見失うという危険性がある。創造的であるためには、むしろ本を読まないほうがよいとさえいえる。

ひとは本の何を語るのか

が語るのは、現実のその本自体についてではなく、その本を読んだ人の《内なる図書室》の中にある《遮蔽物(スクリーン)としての書物》についてである。伝言ゲームのように、現実の本自体は語りの連鎖のうちに変形され続け決して原型をとどめていることはない。

ひとは何を読んでいるのか

は読まれているようでじつは読まれていない。いくつかの断片が印象に残っているというだけであり、読んだ本と読んでいない本をはっきりと区別することは実際にはできない。

本について堂々と語る程度のことは誰でもできる

は本の断片しかおぼえていないものだし、おぼえかたもひとそれぞれだから、わざわざ通読しなくても主要な部分さえ把握しておけば、「本について堂々と語る」程度のことはじゅうぶんに可能だ。

 

info

『読んでいない本について堂々と語る方法』

著者:ピエール・バイヤール

訳者:大浦康介

発行者:熊沢敏之

発行所:筑摩書房

印刷:三松堂印刷

製本:矢嶋製本

装幀:神田昇和

2008年11月25日発行

 

目次

・序

・Ⅰ 未読の諸段階(「読んでいない」にも色々あって……)

1 ぜんぜん読んだことのない本

2 ざっと読んだ(流し読みをした)ことがある本

3 人から聞いたことがある本

4 読んだことはあるが忘れてしまった本

・Ⅱ どんな状況でコメントするのか

1 大勢の人の前で

2 教師の面前で

3 作家を前にして

4 愛する人の前で

・Ⅲ 心がまえ

1 気後れしない

2 自分の考えを押しつける

3 本をでっち上げる

4 自分自身について語る

・結び

・訳者あとがき

 

 

読んでいない本について堂々と語る方法

読んでいない本について堂々と語る方法