『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』永田カビ

「〜できない」ひとたち

文学には「〜できない」ひとたちがたくさんいる。就職できない高等遊民、出勤できず虫になった男、書くことのできない代書人…。

永田もご多分に漏れず、そうした「〜できない」ひとたちの一員として数えられる。正社員として就職できない、異性・同性と親密なコミュニケーションがとれない、両親をうまく愛せない…。

「〜できない」という戦略

「〜できない」を「〜できる」にすり寄せるのではなく、「〜できない」をつらぬき、むしろ開き直って主張してしまうほうが、当人は楽になれる。それに加えて、その主張が他人の目に奇異の目で受け入れられればしめたものだ。やりたくないことをやらずにいることを認められれば、これほど生きやすい状態はない。
幼児は、泣きわめくことで、生命を維持する努力を他者に代行させようとする。「〜できない」という戦略は、弱者にたいするあわれみの感情に触発されやすい人をねらって実行される。

 

「〜できない」という戦略の代償

しかし、「〜できない」当人にはあまり気づかれないことだが、「〜できない」という戦略が成功して、やりたくないことをやらずにすませることは、自己の能力を著しく制限する。人は自分でも自分がなにをできるのかわかりたくなくなることさえあるのだ。

「〜できない」という戦略は、傍観者にとっては面白い。しかし、その人の周囲にいる人たちや、その人自身にとっては、決していい状態をもたらさない。バートルビーグレゴール・ザムザが物語の結末でどうなったかは、人々のよく知るところだろう。

 

 

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

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変身 (新潮文庫)

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書記バートルビー/漂流船 (光文社古典新訳文庫)

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承認をめぐる病 (ちくま文庫 さ 29-8)

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