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Fleur Aux Questions

よくあるご質問

ロラン・バルト『明るい部屋 写真についての覚書』「それはかつてあった」ということ

 

写真には、対象がかつてそこにあったという確実性がある。

 

写真には、見るものによって、社会的教養としての見かたと、心の傷をつき刺すものとしての見かたとがある。

 

そういうふうに分類してはみたものの、バルトは本の半分くらいのところで分析をやめてしまう。

 

バルトがひきつけられる写真は、死別した母の若い頃の写真だった。

 

バルトは、とにかくその写真の特別さについて、なにごとかを言いたかった。

 

バルトは、芸術的な写真を評価しない。それは、社会的教養としての反応を喚起するにすぎないと言う。

 

撃たれる子供の写真、窓から飛び降りる男の写真、自らに火をつける僧侶の写真…。それらを見たときにする反応は、憐れみや同情などの社会性を確認する作業でしかない。

 

そうではなく、バルトは、私的な、なんでもない写真のほうにこそ価値があると言う。

 

ただこの私だけが、それを見て感動する写真。死別した愛する者の、何気ない日常の風景を切り取った写真。

 

明るい部屋―写真についての覚書

明るい部屋―写真についての覚書